COLUMNS

COLUMNS vol.30
約束は、組んだ瞬間が一番軽い。

――行く前の、三日間

返信は、速い。

予定を決める時の返信は速い。

日程の候補が送られてくると、ほとんど迷わず返事をする。

「その日なら大丈夫。」

約束が決まると、そのままカレンダーに予定を入れる。会う場所も待ち合わせの時間も決まっている。
その日はもう予定のことを考えない。

楽しみではある。けれど、その楽しみはまだ遠くにある。

決まった約束は少し先の自分に預けられ、そのまま日常の中へ沈んでいく。

三日前になるまで、ほとんど頭の中にはなかった。

前日になる。

前回も楽しかった。
帰り道にはまた来ようと思っていたし、その場で次の予定を決めたこともある。

前日になると、少し億劫になる。

今日は家にいた方が楽かもしれない。別の日でもよかったかもしれない。

着ていく服を選ぶ。行き方をもう一度確認する。
何分かかるかは、すでに知っているのに。

楽しかった記憶は残っているのに、その記憶は次の前日を軽くしてくれない。
気づけば、また同じ場所まで戻ってきている。

また、組む。

当日になると、その億劫さはどこかへ行く。
どこへ行ったのかはわからない。
気がついたら、出かけていた。

会えば楽しい。話は止まらなかった。時間は思っていたより早く過ぎる。

帰る頃には次の話をしている。
次はいつにするか。来月ならどうか。

「その日なら大丈夫。」

約束はまた決まる。
前日になると少し億劫だったことも覚えている。
それでも返信は速い。
約束はまた少し先に置かれる。
そして三日前になるまで、ほとんど頭の中にはない。

olio narréから、あなた様へ

約束の前日に感じる億劫さは、なくなるものではないのかもしれません。
それでも前日になると、少しだけ遠く感じる。
その感覚は初めてではなく、前回も、その前もあったはずです。
けれど不思議なのは、その感覚を知っていても、私たちはまた約束を組むことです。



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