COLUMNS

COLUMNS vol.26
思い出せる感謝だけが、言葉になる

――言葉にならない感謝がある

母への感謝は形になりやすい

花を選ぶ人もいる。
言葉を送る人もいる。
普段は言わないことも、
なぜか言葉になることがある。

でも父への感謝は、気づけば言葉にならないまま過ぎていくことが多い。

忘れていたわけではない。
関係が悪いわけでもない。

ただ、何を言えばいいのかが少し分からない。

当たり前になったものから、見えなくなる

父が何をしていたのか。
正確には、あまり思い出せない。

毎日働いていたことも、
そこに居たことも、
当たり前になりすぎていた。

人は、思い出せる感謝から先に言葉にする。

強く残ったことほど、言葉になりやすい。

ずっと続いているものには、輪郭がない。

気づけばそこにあって、
問題もなく、
静かなまま続いている。

安定しているものほど、人の意識から外れていく。

完成している関係ほど、人は動かない

問題がある関係には、言葉が生まれる。

気を遣ったり、埋めようとしたり、何かを確かめようとする。

でも、何も問題が起きていない関係は、静かなまま続いていく。

何も言わない。
何も渡さない。

それでも、洗面台に置かれたSea Salt Soapだけは、今日も少しずつ形を変えていく。

静かに続いているものほど、気づかれにくい。

olio narréから、あなた様へ

人は、失ったものより、
ずっと続いているものを思い出せない。

そこにあることが前提になったものほど、
改めて言葉にする理由を失っていく。

感謝がないわけではない。

ただ、静かに続いているものは、
気づかないまま言葉の外へ置かれていくように思います。



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