COLUMNS

COLUMNS vol.27
人は、“ちゃんと疲れる前”に雨を欲しがる

――5月末、静かなものが増えていく


5月の後半になると、
人は少しだけ静かなものを探し始める。
派手な場所より、曇り空。
強い言葉より、湿度のある音楽。
まだ壊れているわけではない。
でも身体より先に、
感情の方が”冷たいもの”を欲しがり始める。

ちゃんとしようとする空気が、流れていた

春は、ずっと明るかった。
新生活。
始まり。
新しい人間関係。
ちゃんとしようとする空気が、
街の中にずっと流れていた。
人はそれに合わせながら、
少しずつ熱を持っていく。
ちゃんとできたかどうか、
まだわからないまま。
だから5月の後半になると、
静かなものに安心し始める。

壊れていないのに、温度を下げようとしている

紫陽花の写真が増える。
雨の音を流し始める。
少し暗い部屋の写真を保存している。
人は、元気になりたいわけではない。
“これ以上、熱を持ちたくない”に近い。
壊れていないのに、
温度を下げようとしている。

“落ち着きそう”なものが選ばれ始める

人が保存しているものも少し変わる。
楽しそうな場所より、
落ち着きそうな部屋。
刺激の強い言葉より、
音の少ない映像。
強い香りより、
ラベンダーの香り。
人は疲れると、
“強いもの”ではなく、
静かになれるものを近くに置き始める。


olio narréから、あなた様へ

夜になる頃には、
少しだけ熱を下げるようなものを選びたくなる日がある。
音を消して、
明かりを落として。
それだけで少し、温度が下がる気がする夜がある。



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